あいみょんのアートワークを語る上で欠かせないキーパーソンが、メジャー1stシングル『生きていたんだよな』(2016年)から現在に至るまでアートディレクションを一手に担うとんだ林蘭(とんだばやし らん)です。
1987年生まれのとんだ林蘭は、コラージュ、イラストレーション、ペインティング、立体造形など多彩な手法を用い、日常的なモチーフ(生肉、果物、日用品、女性の身体)を猟奇的かつポップに再構築する作風で知られる現代アーティスト。木村カエラや東京スカパラダイスオーケストラとのコラボレーション、名立たるファッションブランドのビジュアルも手掛ける彼女ですが、あいみょんとの結びつきは極めて特異です。
「最初の顔合わせのとき、お互いに言葉を多く交わさなくても感覚で通じ合えるものがあった」と後に述懐されている通り、ふたりの制作現場には細部まで縛り付けるようなオリエンテーション資料は存在しないと伝えられています。あいみょんがデモ音源を渡し、とんだ林蘭がそこから受け取った直感をビジュアルとして提示する。デビューから10年の歳月を経てもなお、商業主義に回収されない生々しいエッジが保たれている背景には、互いの作家性を不可侵の領域として尊重し合う二者関係があります。