子宮頸部の異形成は、正常とがんの中間に位置する「前がん病変」です。異形成の進行度(CIN:Cervical Intraepithelial Neoplasia)はCIN1(軽度)、CIN2(中等度)、CIN3(高度異形成および上皮内がん)の3段階に分類されます。CIN1やCIN2の多くは自己の免疫力によって自然治癒するケースがみられる一方、子宮頸部高度異形成CIN3に至ると、自然治癒率は著しく低下します。
日本産科婦人科学会のガイドラインや国内外の大規模追跡調査によると、CIN3を治療せずに放置した場合、数年以内に20〜30%以上の確率で本格的な「浸潤子宮頸がん」へと進行するリスクが指摘されています。これが、専門医がCIN3の確定段階で速やかな円錐切除術を強く推奨する最大の医学的根拠です。
円錐切除術の役割は、単なる「病巣の切除」にとどまりません。事前のコルポスコピー検査(拡大鏡診)や組織生検では把握しきれなかった子宮頸管の奥深い部分まで組織を円錐状にくり抜き、顕微鏡で全周を細かく調べる「確定診断」を兼ねています。つまり、表面上に留まる上皮内病変なのか、すでに微小な浸潤が始まっていないかを見極める、命を守るための決定打となります。