足を踏み入れたことがない人にとって、店内に並ぶ異国の食材群は未知の領域です。しかし、商品棚をつぶさに観察すると、現在の多国籍社会を支える高度な流通ネットワークが浮かび上がってきます。
ベトナム食材店の取扱商品詳細を分類すると、主力は主に以下の4カテゴリーに集約されます。
- 生鮮ハーブ・野菜類:ノコギリコリアンダー(ゴームン)、空心菜、生ライム、レモングラス、トウガラシなど。近年は静岡や茨城、沖縄の契約農家が日本国内で栽培した極めて高鮮度な国産野菜の供給比率が急上昇しています。
- 調味料・乾物類:フーコック産の上質なヌックマム(魚醤)、マムトム(発酵エビペースト)、フォーやブンなどの米粉乾燥麺、ライスペーパー各種。
- 冷凍食肉・加工品:薄切り牛肉、ハチノスなどの内臓肉、ホビロン(孵化直前のアヒルの卵)、冷凍ドリアン、各種ベトナムソーセージ。
- 飲料・スイーツ:練乳入りベトナムコーヒー、ココナッツジュース、チェーの具材缶詰など。
これらの流通を支えているのが、ベトナム食品の卸売・仕入れルートの近代化です。以前は個人バイヤーによる少量輸入に依存していた側面がありましたが、大手輸入商社がハノイやホーチミンの大手食品メーカーと正規代理店契約を締結。国際コンテナ輸送によるスケールメリットを生かした調達網が確立されました。さらに、地方在住者向けにベトナム輸入食材の格安通信販売を展開するECプラットフォームも急増しており、全国どこにいても都市部と変わらない価格で食材が手に入る環境が整っています。