SNSや知恵袋などの投稿を分析すると、「看板の通りに歩いていたはずなのに、いつの間にか違う路線のホームに出てしまった」「改札フロアが何階なのか分からなくなりパニックになった」といった悲痛な証言が数多く散見されます。なぜこれほどまでに大阪駅の乗り換えは人を迷わせるのでしょうか。
現地を歩行調査すると、その要因は単なる駅の広さではなく、「立体交差するサインシステム」と「視覚情報の過密」にあることが浮き彫りになります。大阪駅は、1階コンコース、中2階の乗り換え通路、2階の各線ホーム、3階の橋上連絡橋コンコース、そして地下エリアがミルフィーユのように重なり合う多層構造です。同じ「環状線」を目指していても、利用者が今歩いている階層によって「上るべきか」「下るべきか」の指示が逆転します。
認知心理学の観点から見れば、人間は水平移動よりも垂直移動が加わった瞬間に空間把握能力(メンタルマップの構築)が著しく低下します。大阪駅のコンコースは四方八方に商業施設や他社線への連絡口が口を開けており、商業広告と案内標識が視界内で競合します。特に地方からの旅行者や訪日客は、案内板の「環状線」という文字を探す過程で視覚疲労を起こし、手前にある別系統の階段を無意識に上ってしまうというヒューマンエラーが発生しやすい環境にあります。