台風接近時、日本のSNSや防災コミュニティで頻繁にトレンド入りするのが、ヨーロッパ中期予報台風進路比較に関するトピックです。なぜフランス語圏のサイトや「CYCLONEXTREME」をはじめとする海外ポータル、欧州中期予報センター(ECMWF)のモデルがこれほど熱心に参照されるのでしょうか。
在日フランス大使館(La France au Japon)の防災案内においても、気象庁のリアルタイム衛星画像やInterFM(76.1MHz)による多言語放送と並び、自国の気象情報リソースが紹介されています。欧州モデルは、5日〜10日前という早い段階からの進路傾向の把握に長けており、大気全体の長波の動きを捉えるアンサンブル予報の精度に定評があります。一方、日本の気象庁はメソスケールの高解像度モデルを駆使し、日本列島の入り組んだ山岳地形が台風に与える影響や、局地的な豪雨予測において世界最高峰の精度を誇ります。
台風の発生理由と発達の経緯を俯瞰すると、フィリピン東方の対流活動活発域で発生した熱帯低気圧が、太平洋高気圧の縁辺流に乗って北上するコースをとります。この高気圧の張り出し具合の予測において、欧州モデルと気象庁モデルで数日先の進路が東西に数百キロずれるケースが珍しくありません。「どちらか一方だけを信じる」のではなく、海外モデルで早期のシナリオを把握しつつ、直前の現在地や雨雲の局地的発達は気象庁のデータで厳密に把握するという「複眼的な視点」こそが、大型台風暴風域最新動向を先読みするための有効なアプローチとなります。