東郷神社の歴史と由緒を理解する上で欠かせないのが、神社創創設に至る国民的な運動の経緯です。1934年(昭和9年)5月30日、東郷平八郎元帥が86歳で薨去(こうきょ)した際、全国から追悼と顕彰の要望が殺到しました。国民各層からの献金や勤労奉仕が集まり、1940年(昭和15年)に明治神宮に隣接する原宿の地に創建されました。
1945年(昭和20年)5月の東京大空襲により社殿は一度全焼の憂き目に遭いますが、戦後の1958年(昭和33年)に奉賛会や全国の有志の手によって見事に再建を果たしました。境内には、四季折々の表情を見せる日本庭園「神池」や、海軍ゆかりの記念碑が今も静かに佇んでいます。
現地を歩くと、竹下通りのポップな喧騒から鳥居を一歩くぐった瞬間に、空気の張り詰めるような清涼感に圧倒されます。東郷が重んじた「至誠通天(誠を尽くせば天に通じる)」の理念が、緑豊かな杜の随所に息づいていることを肌で感じ取ることができます。