マイクの前で見せる卓越した技術は、劇団青年座という厳しい演劇の現場で鍛え上げられたものだ。1970年代から劇団員として舞台に立ち、数々のストレートプレイやミュージカルで主役を張ってきた。
声優業を始める遥か前から、彼は全身を使った舞台演劇の世界で生き抜いてきた。足の裏で板を踏み締め、身体全体から声を鳴らす発声技法。対峙する役者との生々しい感情の交わし合い。そうした舞台人としての骨格があるからこそ、声だけの演技であっても奥行きと立体感が生まれる。
「声優ではなく、あくまで役者」という姿勢を崩さない。だからこそ、画面の中の人物が呼吸する空気の重さまで表現できるのだ。