体調を見極めながらではあるが、長嶋氏が時に姿を見せる東京ドームのスタンドは、一瞬にして独特の熱気に包まれる。バックネット裏のグラウンドを見つめる眼差しは、現役時代や監督時代と変わらぬ鋭さを保っている。かつて共に「ON時代」を築き上げ、世界の王として王貞治氏と並び立った記憶は、今もファンの胸に深く刻まれている。
王貞治氏との交流は現在も続いており、節目の時期には電話で言葉を交わし、互いの健勝を称え合う間柄だ。ふたりが並んで座る姿は、日本のスポーツ史そのものを体現していると言っても過言ではない。長嶋氏が発する一言ひとことが、かつての戦友であり盟友である王氏にとっても大きな刺激となり、ふたりの友情は歳月を重ねるごとに深みを増している。