ブレイク真っ只中にあった2019年9月、『週刊文春』が兼近の過去の逮捕歴をスクープしました。当時は「チャラ男だが実は真面目で礼儀正しい好青年」というギャップで人気を博していたため、世間に走った衝撃は極めて大きなものでした。
吉本興業は事態を受け、兼近自身が事前に過去の過ちを会社に報告していたことを説明。兼近自身も情報番組『サンデー・ジャポン』などで生出演し、逃げ隠れすることなく事実を認めて謝罪しました。当時の放送席で見せた強張った表情と、自身の口から「過去の罪を背負って生きていく」と述べた態度は、視聴者に強い印象を与えました。
その後、2026年10月に発表された自伝的小説『むき出し』(文藝春秋)は、単なるタレント本を超えた文学的記録として注目を集めました。作中では、極度の貧困家庭で育ち、母親の過酷な労働環境やヤングケアラー同然の生活環境、中学卒業後に夜の街へと流れ着いていく過酷な少年時代が生々しく描写されています。
「犯罪が日常に溶け込んでいた環境」から抜け出し、お笑いの世界に希望を見出すまでの苦悩を赤裸々に綴った同書は、犯罪被害者の心情に配慮しつつも、彼がどのような構造的トラウマと環境要因の中で育ったのかを浮き彫りにしました。この自著の出版によって、彼の過去は「隠蔽されたスキャンダル」から「更生と反省の過程」として公に議論される土台が作られたのです。