日本の写真史において、秋山庄太郎が果たした役割は極めて大きい。長年にわたり日本写真家協会で要職を務め、後進の育成や写真文化の向上に奔走した彼は、同時に「花の写真」と「女性の肖像」で一世を風靡したマスターでもあった。
彼のスタジオを訪れた著名人は数知れない。しかし、彼が手がけた肖像写真は単なる記念撮影とは一線を画していた。被写体がふと見せる無防備な瞬間、あるいは張りつめた気迫。出版業界のグラビアや単行本の表紙を飾ったそれらのポートレートは、グラフィックな美しさと人間味の双方を極限まで引き出している。