映画界での評価を確固たるものにした彼女が、テレビの世界で日本中を熱狂させたのが1997年放送の株式会社TBSテレビ制作によるテレビドラマ『青い鳥』だ。豊川悦司演じる駅員・柴田理森と、町の実力者の家に嫁いだ人妻・町村かほり。決して許されないはずの恋に落ちた二人の逃避行は、金曜夜のドラマ枠に漂うこれまでの常識を覆すほどの緊迫感に満ちていた。
野沢尚の緻密な脚本のもと、二人が重ねる肌のぬくもりは単なるスキャンダラスな愛欲ではない。閉塞感に満ちた日常から抜け出し、魂の救済を求める二人の叫びが、抑制の効いた官能美として描かれた。夏川結衣と豊川悦司が醸し出す哀切極まる距離感は、テレビドラマ史に刻まれる純愛の金字塔として今も語り継がれている。