1951年の開館以来、この博物館は大町市の精神的支柱として歩みを重ねてきた。戦後の混乱期に産声を上げた施設が、なぜ半世紀以上を経てなお、これほど人々を魅了し続けるのか。その理由は、一貫して「自然と人間の共生」を追求してきた姿勢にある。
展示室に一歩足を踏み入れれば、地質学的な山脈の成り立ちから、高山に息づく動植物の生態、そして山と共に生きてきた人々の民俗誌まで、網羅的なコレクションが展開されている。百科事典をめくるような機械的な展示ではない。そこには、山に魅せられた研究者や登山家たちの熱量が、標本一つひとつから生々しく伝わってくるドラマが存在する。