「ピチカート」という言葉は、クラシック音楽の枠を飛び越え、日本のポップカルチャー史にも深い足跡を残しています。その象徴が、1980年代半ばから2000年代初頭にかけて一世を風靡した音楽ユニット「ピチカート・ファイヴ(PIZZICATO FIVE)」です。
小西康陽氏を中心とし、後に野宮真貴氏をヴォーカルに迎えて「渋谷系」ムーブメントの頂点に立った同バンドの名称は、まさにこの弦楽器のピチカート奏法に由来しています。
弦をつま弾くような軽快でおしゃれな響き、クラシカルでありながら都会的でポップなニュアンスを持つこの言葉は、彼らが紡ぎ出したラウンジミュージックやフレンチポップ、60年代ポップスを再構築した洗練されたサウンドデザインと見事に合致していました。音楽用語が持つ小粋なイメージが、カルチャーのアイコンとして定着した好例といえます。