ロマンチックな解釈の一方で、臨床皮膚科の現場において顎ニキビは「成人女性の約7割以上が一度は悩まされる代表的な大人ニキビ」として扱われます。思春期ニキビが皮脂分泌の活発なTゾーン(額・鼻)に多発するのに対し、20代以降の大人ニキビがUゾーン(顎・フェイスライン)に集中するのには明確な医学的根拠が存在します。
最大のトリガーとなるのがホルモンバランスの周期的な変動です。月経前の黄体期にはプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加し、同時に微量に存在する男性ホルモン(アンドロゲン)の活性が高まります。これにより皮脂腺が刺激されて皮脂の分泌量が増えるだけでなく、毛穴の出口付近の角質が厚くなって毛穴が詰まりやすくなります。
見逃せないのが内臓の不調、とりわけ胃腸の荒れとの相関関係です。消化器系の粘膜と皮膚は発生学的に同一起源(外胚葉および内胚葉の連携)であり、暴飲暴食や脂質・糖質の過剰摂取、アルコールの過飲によって胃腸機能が低下すると、腸内環境が悪化して老廃物が血中に巡り、顎周辺の皮脂腺から排泄されようとして炎症を引き起こします。