作中で周囲から「ムタ」あるいは「ムタさん」と呼ばれている巨漢猫ですが、その正体と本名は中盤以降の猫の国で劇的に明かされます。彼の真の名は「ルナルド・ムーン」。猫の国の歴史において、恐怖と畏怖の象徴として語り継がれてきた伝説の大罪人です。
猫王の城の迷宮を進むハルたちの前に現れた巨大な猫の彫像。それは過去に「国の湖にいた魚をすべて食い尽くして逃げ去った悪名高き大泥棒」の姿を刻んだものでした。この猫の国の魚を一夜にして丸呑みにした張本人こそが、他ならぬムタ(ルナルド・ムーン)です。劇中で彫像を見たムタ自身が「俺の若い頃にそっくりだ」ととぼけた直後、正体が露呈して猫の国の兵士たちから一斉に追われる展開は、物語屈指の見せ場となっています。
「ムタ」という通称は、豚のように丸々とした巨体から連想される侮称、あるいは猫の国から姿をくらますための偽名(コードネーム)として使われていたと考えられています。普段は猫事務所でバロンの相棒として気ままに暮らしていますが、その出自は猫の国の国家権力を震撼させたアウトローだったというギャップが、キャラクターの奥深さを際立たせています。