育児相談の現場やSNSのコミュニティを調査すると、「胸がふにゃふにゃで張らなくなった=母乳が止まってしまったのではないか」という相談が後を絶ちません。自著や手記で育児のリアルを語る先輩ママたちも、一度はこの「出ているか分からない恐怖」を経験しています。
しかし、張らないからといって母乳が出ていないとは限りません。授乳が軌道に乗ると、乳房は無駄に母乳を溜め込まず、赤ちゃんが吸った刺激でその都度必要な量を分泌する「差し乳」へと移行します。これは身体が適応した正常なサインです。
感覚的な不安に惑わされないために、確実な母乳不足のサインと見分け方を客観的データとして把握しておく必要があります。
- 十分に出ているサイン:
- 1日6回以上のしっかりとした排尿がある(薄い黄色〜透明)。
- 生後2週目以降、日割りで25〜30g前後の体重増加がコンスタントに見られる。
- 授乳後に満足そうな表情をして手足をリラックスさせている。
- 受診やミルク補足を検討すべき不足サイン:
- 1日のおしっこが4回以下で、色が濃くレンガ色の尿酸塩がオムツに付着する。
- 生後2週間を過ぎても出生体重まで回復しない、または体重増加が日割り15g未満。
- 常に泣いて乳首を求めて激しくぐずり、授乳が1回あたり40分以上延々と続く。
また、日々のコンディションを支える母乳の出を良くする食事と飲み物も重要です。母乳の約88%は水分で構成されているため、1日2〜2.5リットルを目安に常温の水や麦茶、ノンカフェインのハーブティー(ルイボスやタンポポ茶)をこまめに摂取しましょう。食事は極端な脂質制限をする必要はなく、和食中心に根菜類の温かい味噌汁や魚・大豆などの良質なタンパク質をバランスよく摂ることが、良質な母乳分泌の土台となります。