児太郎の半生を語る上で、父である九代目中村福助の存在は外せない。2013年、福助は脳出血に倒れ、一時は言葉を交わすことすら困難な状況に陥った。当時、まだ二十歳そこそこだった児太郎にかかった重圧は、想像を絶するものがある。
一家の柱を失いかけた危機の中で、児太郎は若くして成駒屋の看板を背負って立つ覚悟を決めた。父のリハビリを支えながら、自らは舞台で大役を次々とこなし、実力を磨いていった。近年、奇跡的な復活を遂げ、再び舞台に立つ父の姿を、児太郎はどのような想いで見つめているのだろうか。病を乗り越えた父子の絆は、そのまま芸の深みへと昇華されている。