心療内科と精神科を区別する最大の軸は、「症状の主座(メインの現れ場所)が体か、心(精神)か」という点にあります。混同されがちですが、それぞれのルーツと得意とする疾患領域は明確に異なります。
心療内科は、内科学から派生した専門分野です。心理的ストレスや環境要因によって引き起こされる身体の病気、すなわち心身症の治療を専門としています。検査をしても胃や腸そのものに重大な器質的病変が見当たらないにもかかわらず、ストレスによって強い身体症状が出ているケースが該当します。
一方で、精神科は精神医学をベースとし、脳の神経伝達機能の不調や心の働きそのもののトラブルを扱います。感情のコントロールが効かない、意欲がまったく湧かない、強い不安や妄想に苦しんでいるといった状態を専門的に診療します。
具体的な症状の現れ方によって、どちらを受診すべきか切り分ける基準は以下の通りです。
心療内科が適しているケース(心身症・自律神経症状)
心理的重圧がかかると胃が激しく痛む、出勤前になると激しい下痢や便秘を繰り返す(過敏性腸症候群)、原因不明のめまいや動悸が続く(自律神経失調症)、過度の緊張からくる筋収縮性頭痛や気管支喘息の悪化など、身体の不調が前面に出ている場合は心療内科が第一選択となります。
精神科が適しているケース(気分の変調・思考の混乱)
何をしても楽しめず気分が極度に落ち込む、眠れず早朝に目が覚めて強い絶望感に襲われる(うつ病の初期症状)、突然の激しい動悸や呼吸困難感で死の恐怖を感じる(パニック障害)、誰もいないのに声が聞こえる、あるいは周囲から監視されているように感じるなど、感情・気分・知覚・思考の乱れが主症状の場合は精神科を受診することが不可欠です。