ネット上の情報空間には、「100均のコスメは中国製で危険」「デパコスや専門メーカーのフェイスペイントなら絶対に安全」といった極端な二元論が蔓延しています。しかし、この認識には大きな盲点が存在します。
国内のダイソーで正規流通しているメイクアップ製品は、厚生労働省の管轄下にある医薬品医療機器等法に基づき、法定の成分検査と表示義務をクリアして輸入・販売されています。危険な重金属や禁止防腐剤が無制限に含まれているわけではありません。逆に、有名ブランドの舞台用ドーランや特殊メイク用塗料であっても、耐久性と発色を高めた顔料は皮膚に対する物理的・化学的負担を伴います。「安物だから荒れた」と短絡的に結論づけるのではなく、「長時間の塗工と不適切なクレンジング」という使用法そのものの誤りがトラブルを引き起こしているという構造を正しく理解する必要があります。
また、製品パッケージに記載されている「パッチテスト推奨」の文言を無視するユーザーが全体の8割近くに達しているという現場感覚もあります。腕の内側などの目立たない皮膚に少量を塗り、30分程度放置して発赤やかゆみが出ないかを確認するステップを挟むだけで、顔面全体の肌荒れリスクは大幅に低減できます。手軽さという最大の利便性が、皮肉にも基本的な安全確認を省略させる心理的油断を生んでいるのです。