すべての発端となったのは、2014年7月から上演された舞台『夕-ゆう-』での共演でした。全国各地を巡る過密なツアー公演のなかで、ヒロインを務めた上原多香子と阿部力は急速に心理的・身体的な距離を縮めていきました。演劇界では、長期間にわたり極限の感情を交わし合う稽古や地方遠征において共演者同士の結びつきが深まりやすいとされますが、二人の関係は一線を越えたものへと発展していきました。これが、のちに多くの悲劇の引き金となる上原多香子と阿部力の馴れ初めです。
当時、上原多香子は2012年8月に結婚した夫・TENNさんと大阪を拠点に生活を営んでいました。音楽活動の拠点を地方に置きながらも互いを支え合う「おしどり夫婦」として認知されていましたが、舞台公演の真っ只中であった2014年9月25日、事態は一変します。TENNさんが大阪市天王寺区の自宅マンション駐車場の車内で自ら命を絶っているのが発見されたのです。
発見直後は、音楽活動における苦悩や将来への不安が動機であると広く信じられていました。葬儀において骨壺を抱きしめ、人目を憚らず号泣する上原多香子の痛々しい姿は多くの同情を集め、メディアも深い哀悼の意を示していました。しかし、その死の背景に横たわっていた「決定的な動機」が白日の下に晒されたのは、没後3年が経過した2017年8月のことでした。
女性週刊誌『女性セブン』が報じたスクープ記事は、世間の認識を180度覆すものでした。記事にはTENNさんが家族と上原多香子宛てに遺した遺書の全文、そして上原多香子のスマートフォンに残されていた阿部力との生々しい親密な対話記録が掲載されていました。報道各社の追跡取材により、TENNさんが上原多香子と阿部力の密通を知り、耐え難い絶望のなかで自死を選んだという悲惨な上原多香子と阿部力の報道経緯が社会に暴かれたのです。