多発性骨髄腫は初期段階での自覚症状が乏しく、発見が遅れやすい疾患の代表格です。医学界では、その代表的な臨床的兆候を「CRAB(クラブ)」と呼ばれる4大徴候で定義しています。
- C(Calcium / 高カルシウム血症):骨が溶け出すことで血液中のカルシウム濃度が上昇し、喉の異常な渇き、吐き気、意識混濁を招く。
- R(Renal / 腎障害):異常タンパク(M蛋白)が腎臓の糸球体を詰まらせ、倦怠感やむくみ、尿の泡立ちを引き起こす。
- A(Anemia / 貧血):骨髄内で骨髄腫細胞が増殖し、赤血球の生成を阻害することで息切れ、立ちくらみ、慢性的な疲労感が生じる。
- B(Bone / 骨病変):骨がスカスカになり、くしゃみや日常のわずかな動作で肋骨や胸椎、腰椎を圧迫骨折し、激しい痛みが走る。
著名人の事例でも、宮川花子さんは「何ヶ月も続く頑固な腰痛」、佐野史郎さんは「発熱と倦怠感に伴う急性腎不全」、岸博幸さんは「健診での総タンパク(TP)およびM蛋白の異常値」が決定打となりました。「単なる慢性腰痛や更年期の疲れ」と自己判断せず、痛みが引かない場合に整形外科だけでなく内科・血液内科での精密採血検査を受けることが、早期発見の分水嶺となります。