本来は厳粛なスポーツ精神であった言葉が、なぜデジタル空間で全く異なる意味合いを帯びるようになったのでしょうか。その決定的な転換点は、2000年代後半における匿名掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」のなんでも実況J(なんJ)へのプロ野球実況の移転でした。
当時のネット掲示板において、阪神ファン特有の熱狂的かつ自虐的な書き込みスタイルがフォーマット化され、語尾に「〜やで」「〜やろ」「ワイ(私)」「サンキューイッチ」などを多用する独特の言い回しがネットスラングとしての「猛虎弁」として定着しました。この言語遊戯は瞬く間にネット空間全体へと拡散し、元ネタがプロ野球であることを知らない若年層にまで日常的なデジタル言語として浸透していったのです。
さらに、名将・岡田彰布氏が残した数々の談話――いわゆる「岡田彰布語録(『そらそうよ』『おーん』『アレ』など)」――は、ネット住民のパロディ精神と完璧に合致しました。勝負の機微を独特の間と関西弁で語る岡田氏の言葉遣いは、SNS上で瞬く間にミーム化され、2020年代以降の阪神タイガース最新ニュースが報じられるたびに爆発的なエンゲージメントを記録する要因となっています。
現在、ネット上における「猛虎魂の評判やネットの反応」を分析すると、純粋な球団愛を誇示するポジティブな文脈と、ネットスラングとしてユーモラスに茶化す文脈の2つが共存しており、言葉本来の意味から大きく拡張された独自のサブカルチャーを形成しています。