地区大会を突破した富士美高校演劇部は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフにしたオリジナル劇の上演を決断します。平田オリザ特有の「現代口語演劇理論」を取り入れた台本は、静かで日常的な会話の積み重ねの中に、人間の生と死、そして他者への想いを濃密に描き出す構成へと磨かれていきました。
しかし、県大会を前にして部員たちを指導していた吉岡先生が突然の退職と東京への帰還を告げられます。精神的支柱を失い激しく動揺する生徒たち。ここで部長のさおりは、先生に依存するのではなく、自分たちの足で舞台に立つ覚悟を決めます。物語の結末における最大のハイライトは、県大会のステージ上で繰り広げられる圧巻の上演シーンです。
劇中でジョバンニとカムパネルラを演じる彼女たちは、舞台上で本物の感情をぶつけ合い、観客と審査員の心を激しく揺さぶります。結果として全国大会への切符を掴み取った彼女たちですが、ラストシーンで描かれるのは栄光の瞬間そのものではなく、列車に揺られながら次なる舞台へと向かう部員たちの横顔でした。「演劇に終わりはなく、幕が上がれば人生は続いていく」という余韻を残すエンディングは、今なお多くの映画ファンの間で名結末として語り継がれています。