作詞を手がけたこうじはるかによる『雨のバラード』の歌詞は、日本の歌謡曲特有の湿り気と、都会的な叙情詩が見事に融合した傑作です。降りしきる雨の冷たさと、心の中に燻る失恋の炎という鮮やかな対比が、聴き手の情景想像力を強く刺激します。
去っていった恋人の面影を街の雨の中に探し求め、忘れようとすればするほど鮮明に蘇る愛の記憶――。単なる悲哀の吐露にとどまらず、雨粒が涙を洗い流してくれることを願う主人公の切実な心情が、ドラマのワンシーンのように流麗な言葉で綴られています。
湯原昌幸のボーカルは、過剰な感傷に溺れることなく、芯のあるハスキーボイスで淡々と、しかし内面に秘めた激しい情熱を込めて歌い上げます。この絶妙な距離感の歌唱表現こそが、歌詞の持つ切なさを最大限に引き出し、聴く者の胸を強く打つのです。