長年にわたりファンの間で「アンタークの再生は可能なのか」という議論が交わされてきましたが、物語後半の月編において、その真相がついに明かされました。
月人たちの技術によって奪われた宝石たちの復元が進められる中、アンタークチサイトは粒子レベルまで細かく粉砕・散逸しており、通常の宝石としての復元は不可能と判定されていました。しかし、フォスが月の指導者エクメアと取引を重ね、最終的に「宝石の合成・月人化技術」が確立されたことで、アンタークは月人として完全な復活を遂げることになります。
ここで描かれた結末は、甘美なハッピーエンドとは程遠い、市川春子作品特有の哲学的ビターテイストに満ちていました。
- 月での新たな生:月人となったアンタークは、地上時代の重圧や「冬の孤独」から完全に解放され、同様に月人化した仲間たちや金剛(祈りの力を手放した機械)と共に穏やかな日々を謳歌する。
- フォスとの決定的な断絶:アンタークを取り戻すためにすべてを犠牲にし、裏切りと孤立を重ねて「祈るべき神」へと変貌していくフォス。かつて命を懸けて守り合った二人の立場は、救う側と取り残される側として完全に逆転する。
- 最終回への祈りと消滅:1万年の孤独の末に神となったフォスが最後に放った祈りによって、アンタークを含むすべての月人・元宝石たちは等しく「無」へと還り、輪廻の苦しみから解脱する。
アンタークにとっての復活は、地上での苦痛に満ちた役割からの解放を意味していましたが、それは同時に「フォスがアンタークのために払い続けた膨大な代償」が、当のアンターク本人からはもはや必要とされなくなっていたという、極めて切ない結末を浮き彫りにしました。