清水健氏の人生を語る上で避けて通れないのが、妻・奈緒(なお)さんとの闘病生活と別れです。スタイリストとして番組制作の現場で出会った2人は2013年に結婚。しかし、待望の第一子妊娠が判明した直後の2014年4月、奈緒さんに悪性度の高い乳がんが見つかりました。
「お腹の命を守りたい」という奈緒さんの強い願いを受け止め、抗がん剤治療を調整しながら2014年10月に長男が誕生。しかし、産後に病状は急激に悪化し、愛息を抱いたわずか112日後の2015年2月、29歳という若さで帰らぬ人となりました。
当時の特番や自著において、清水健氏は「なぜ奈緒だったのか、なぜ救えなかったのか」と自問自答を繰り返した苦悩を吐露しています。奈緒さんの一周忌を機に出版された著書『112日間のママ』は、夫婦の命の記録として大反響を呼び、累計10万部を超えるベストセラーとなりました。
彼が2017年1月に決断した読売テレビ退社理由は、まさにこの原体験にあります。自著の印税を全額寄付して設立した清水健基金を通じて、がん治療の研究機関や小児がん患者を支える団体へ直接的な支援を届けること。そして何より、妻が命懸けで産み落とした愛息と向き合う時間を最優先にするための、退路を断った決断でした。