ランニングと筋トレの順番はどっちが先?目的別の最適解と効果比較

ランニングと筋トレの順番はどっちが先?目的別の最適解と効果比較

ランニングと筋トレの順番はどっちが先?目的別の最適解と効果比較についての真相をご紹介します。

トレーニーの間で長年囁かれている「有酸素運動を行うと筋肉が落ちる」「筋肥大を阻害する」という説には、分子生物学的な根拠が存在します。これはいわゆる「干渉効果(Interference Effect)」と呼ばれる現象です。

筋力トレーニングを行うと、細胞内では筋タンパク質の合成を促進する酵素複合体「mTORC1」が活性化します。一方、長時間のランニングなどの有酸素運動を行うと、エネルギーの枯渇を感知した細胞内で「AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)」という酵素が活性化します。このAMPKはミトコンドリアの新生を促す一方で、mTORC1の働きを直接的に抑制する作用を持っています。つまり、同じ筋肉に対して強度の高い筋トレと長時間の有酸素運動を近接して行うと、筋肉を大きくするためのシグナルが打ち消されてしまうのです。

しかし、この干渉効果は「有酸素運動を完全に排除すべき」という意味ではありません。最新の運動生理学の知見では、以下の条件を満たすことで筋肥大への悪影響を最小限に抑えつつ、有酸素運動の恩恵を受けられることが示されています。

一つ目は「運動強度と時間」のコントロールです。最大心拍数の60〜70%程度の低〜中強度で、1回あたり20〜30分以内のランニングであれば、AMPKによるmTOR阻害は限定的であり、むしろ毛細血管密度の向上によって筋肉への酸素・栄養素の供給が促進され、筋疲労の回復を早める効果が得られます。一方、1時間を超える長距離走や息が激しく上がる高強度インターバル走を同日に行うと、コルチゾールの分泌が増加し、明確なカタボリック(筋分解)が引き起こされます。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。