高島屋の歴史をひもとくと、1831年に京都で古着木綿商として創業した飯田新七の商いの心が根底に流れている。「店はお客様のためにある」という泥臭くも真摯な哲学だ。その精神は、現代のトップである株式会社高島屋の村田善郎社長にも確実に受け継がれている。
消費者の志向がモノからコトへ、そして体験価値へと移行するなかで、経営陣が下した決断はきわめて果敢だ。従来の百貨店モデルの延長線上に未来はないという危機感を背景に、地域密着型モデルへの徹底したシフトを打ち出したのである。一過性のトレンドを追うのではなく、地域社会と息長く調和する店舗づくりを目指す姿に、伝統企業のしなやかな強靭さが見て取れる。