ネット検索で見かける民間療法や個人の体験談には、医学的に極めて危険な誤解が紛れ込んでいます。その最たる例が「ドラッグストアの市販かゆみ止め軟膏で様子を見る」という行為です。市販の皮膚疾患治療薬には強力なステロイド成分が含まれているものが多く、細菌感染に対して一時的な消炎効果を見せることはあっても、局所の免疫力を著しく低下させます。もし原因が真菌であった場合、ステロイドの連用はカビに肥料を与えるようなものであり、数日のうちに爆発的な悪化を招きます。
もう一つの危険な誤信は、「消毒用アルコールで耳の中を拭けば除菌できる」というものです。アルコールは傷ついた粘膜に近い外耳道皮膚に対して激しい化学的刺激を与え、角質細胞を破壊して組織の壊死を促進します。清潔に保とうとする行為が、結果として組織の修復力を奪い去る事態を引き起こします。
さらに警戒すべきは、単なる外耳炎と自己判断して放置した結果招く悪性外耳道炎の危険性です。これは外耳道の感染が頭蓋底の骨にまで波及する重篤な病態で、特に高齢者や糖尿病、免疫抑制状態にある人が緑膿菌に感染した場合に発生しやすくなります。耳の周囲の腫れだけでなく、顔面神経麻痺(口角が下がる、目が閉じにくい)や激しい頭痛が生じた場合、命に関わる事態に発展するため一刻の猶予も許されません。