毎年、夏の放送時期が近づくと、SNSやネット掲示板では「感動の押し売り」「お涙頂戴の感動ポルノではないか」という厳しい批判的な声が少なからず噴出します。しかし、テレビ制作の現場および番組の歴史的変遷を丹念に追跡すると、多くの視聴者が誤解している重要な事実が浮かび上がってきます。
もともと24時間テレビの土曜夜の枠は、ドラマ枠ではありませんでした。1978年の番組スタート当初から1980年代末期にかけては、手塚治虫が手がけた新作アニメーション(『100万年地球の旅 バンダーブック』や『海底超特急マリンエクスプレス』など)が長時間放送される枠だったのです。当時のアニメ枠もまた、環境破壊や生命の神秘といった社会派の重厚なテーマを子供たちに届ける目的で制作されていました。
1990年代に入り、番組全体のリニューアルと視聴者層の拡大に伴い、土曜21時枠が実話をもとにした「ヒューマンスペシャルドラマ」へと枠変更されました。日本テレビ関係者の証言によると、この枠変更の背景には「アニメーションでは描ききれない、今を生きる市井の人々のリアルな声や福祉の現場の課題を、最もリーチ力のある実写ドラマというフォーマットで直視してほしい」という制作側の明確な危機意識がありました。
さらに近年では、「病気で亡くなる悲劇」をドラマチックに描いて涙を誘う手法に対して、現場レベルでも強い見直しが進められています。事実、近年の作品では、障がいや病気そのものを過剰に悲劇化するのではなく、「病気と共にどう前を向いて生きるか」「支える家族の日常にある小さな喜び」に焦点が当てられるようになり、ステレオタイプな感動路線からの明確な脱却が図られています。