敷地内を流れる運河を挟んでふたつの棟が向かい合い、それらを空中回廊がしなやかに繋ぐ。この世界的建築家・隈研吾氏の手による画期的な構造こそが、長崎県美術館の真骨頂です。ルーバーと呼ばれる木調の格子が外光を柔らかく遮り、館内には木漏れ日のような陰影が落ちます。自然との境界線をあえて曖昧にする彼の建築デザイン哲学が、ここでは見事に結実していました。
屋上に登れば、目前に広がる長崎港のパノラマに誰もが息を呑みます。潮風が吹き抜ける空間で作品の余韻に浸る時間は、他では決して味わえない贅沢でしょう。建物そのものが、長崎の風土と対話する巨大なアート作品として機能しています。