物語の軸を担うジェームズ・P・サリバン(サリー)とマイク・ワゾウスキ。悲鳴集めのトッププレイヤーとして君臨する巨大な青い毛むくじゃらのサリーと、彼を支えるエネルギッシュな一ツ目の相棒マイクの掛け合いは、作品のテンポとテンションを決定づけている。だが、初期構想における彼らの関係性はまったく異なるものだった。
元々のプロットにおいて、マイクというキャラクターは存在すらしていなかった。サリーが単独で主人公を務める予定だったのだ。しかし、物語の展開上、彼の心情を口に出して共有する「聞き役」が必要となり、急遽生み出されたのがマイクだった。結果として、この緑色の丸いモンスターは作品に爆発的なユーモアと熱気をもたらし、二人はピクサー史上屈指のバディへと昇華した。
一方、サリーの巨体を覆う230万本以上もの毛髪の描写は、当時のクリエイター陣を徹底的に悩ませた。個々の毛が複雑に干渉し合いながら風や動きになびく表現は、CG技術の限界に対する挑戦であり、その成功はアニメーション史における技術的ブレイクスルーとなった。