大手匿名掲示板「5ちゃんねる」における反響は、他の犯罪報道とは決定的に異なる経過をたどった。通常、事件報道は時間の経過とともに風化していく。しかし、本件においては容疑者の残した整然たる分類データや独特の行動原理が、ユーザーたちの手によってアスキーアートや定型文へと加工され、スラング化していった。
こうした現象は、日本のインターネットサブカルチャー特有の消費形態を物語っている。倫理的なタブーを軽快な文脈へと変換し、文脈を削ぎ落としたネタとして消費する文化構造がそこにはあった。事件の悪質性を認識しつつも、ネット空間における独自の記号として定着した背景には、当時の掲示板コミュニティが持っていた特有のノリと拡散力があったことは間違いない。