偽陰性を引き起こす代表的な機序として、専門家の間で知られているのが「フック現象(High-dose hook effect)」である。妊娠が成立すると、母体からはヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)という特有のホルモンが分泌され始める。市販の判定キットはこのhCGの存在を感知して反応する仕組みになっている。
ところが、双子などの多胎妊娠や胞状奇胎、あるいは妊娠週数が進んで尿中のhCG濃度が極めて高くなりすぎた場合、抗体とホルモンの結合バランスが崩れてしまう。その結果、本来なら強い陽性を示すべき場面で、試薬が反応せず「陰性」と誤判定されてしまうのだ。高濃度ゆえに反応しないという皮肉な逆転現象こそが、フック現象の正体である。