2000年代初頭に映画や書籍で話題となった『マネーボール』のムーブメント以降、野球界には統計学に基づいた分析手法である「セイバーメトリクス」が急速に浸透した。その結果、防御率に対する見方にも大きな変化が訪れている。
伝統的な防御率は今なお絶大な指標だが、セイバーメトリクスの視点からは「被安打や守備位置のシフトなど、運や球場の特性にも左右される」という限界が指摘されるようになった。そのため現代のフロントオフィスやアナリストは、守備の影響を排除したFIP(Fielding Independent Pitching)や、球場・時代の補正を加えた防御率指標(ERA+)などを併用して投手の能力を多角的に分析している。
しかし、どれほど複雑な指標が登場しようとも、現実に「相手に点を与えないこと」に勝る結果はない。クラシックな指標である防御率は、最新のデータ分析が席巻する現在でも、投手の勝負強さを映し出す第一線であり続けている。