意図しない不適切な笑いという症状が広く社会に認知されるきっかけとなったのは、ワーナー・ブラザース配給の大ヒット映画『ジョーカー』の存在が大きい。主演を務めたホアキン・フェニックスは、緊張や苦痛を感じると自らの意思に反して狂おしく笑い出してしまう難病を抱えた主人公を見事に演じ切った。
現在もNetflixをはじめとする各種ストリーミングサービスで本作が世界的に視聴され続けていることで、「笑い=喜び」という単純な構造ではないことへの理解が広がりつつある。病理的な失笑や感情調節の障害は、時に本人の人生を破滅に追いやるほどの破壊力を持つ。スクリーンの中で描かれた孤独と恐怖は、決してフィクションの中だけの出来事ではない。