ネット上の掲示板やサッカー談義において、スペイン代表無敵艦隊歴代最強説に対する反論として根強く語られるのが「2010年のスペインは1-0ばかりで退屈なパス回しをしていただけではないか」という批判です。大会7試合での総得点数はわずか8得点。優勝チームとしてはワールドカップ史上最少得点記録であるため、数字の表面だけを見れば守備的で消極的なチームに見えるかもしれません。
しかし、当時の詳細なスタッツを精査すると、この見解が決定的な誤解であることが分かります。スペインの1試合平均ボール支配率は65.2%に達し、敵陣ペナルティエリアへの侵入回数、枠内シュート数ともに大会トップクラスでした。得点が1点に留まった理由は消極的な姿勢にあったのではなく、対戦相手がペナルティエリア内に10人のフィールドプレーヤーを並べる「超極端なバス停め(超低重心ブロック)」を採用せざるを得なかったからです。
もう一つの盲点は「2010年の代表は単なるペップ・バルサの焼き増しだった」という言説です。実際には、レアル・マドリード仕込みのセルヒオ・ラモスが見せた獰猛な対人守備や、シャビ・アロンソの放つ鋭い40メートルの対角ロングフィードが存在したからこそ、対戦相手は前線からのハイプレスを仕掛けることができませんでした。バルサの精緻なショートパスと、レアルの力強いダイナミズムが融合したからこその「無敵艦隊」であり、単一クラブのコピーでは決して到達できない完成度を誇っていたのです。