コードフォームをある程度押さえられるようになった初心者が次にぶつかるのが、「コードは合っているのに原曲のようなかっこいい雰囲気にならない」という壁です。この違いを生み出しているのが、右手のストロークパターンとタイム感のコントロールにあります。
本作の基本テンポはBPM116前後。一般的な8ビートよりも細かいニュアンスを含んだ、跳ねすぎない16ビートのストロークが楽曲の推進力を生み出しています。右手のピックを弦に深く当てすぎず、手首のスナップをしなやかに使って「ジャカ・ジャカ・ツク・ジャカ」と空振りを混ぜるゴーストノート(左手の力を一瞬抜いて弦をミュートして鳴らすブラッシング音)を2拍目・4拍目の裏に忍ばせるのが奥田民生流のストロークテクニックです。
また、楽曲の象徴であるイントロのTAB譜(タブ譜)において、原曲のエレキギターは印象的な単音リフを鳴らしていますが、アコギ弾き語りにおいては「コードの低音弦を鳴らしながら高音弦でメロディを追う」アルペジオ的なアプローチが極めて効果的です。イントロをEコードのローポジションでジャラーンと鳴らした直後、2弦・3弦のハンマリング・オンを交えてリフの輪郭をなぞるだけで、ソロ弾き語りでもバンドサウンドに匹敵する音圧と厚みを作り出せます。