ヤンデレという概念の核心にあるのは、「相手を絶対に他人に渡したくない」「自他が一体化するまで束縛したい」という極限の独占欲です。こうした心理を最も雄弁に物語る代表格が、壁面緑化などでも親しまれているアイビー(セイヨウキズタ)です。アイビーが持つ公式な花言葉の一つには「死んでも離さない」「永遠の愛」がありますが、これが時に「死ぬまで愛す」という逃げ場のない狂気の花言葉として解釈されるのには、植物学上の明確な根拠が存在します。
アイビーは気根と呼ばれる無数の頑強な根を樹木や壁面に食い込ませ、光を求めて上へと這い登ります。一度絡みついた樹木はアイビーの強烈な締め付けと日光の遮断によって樹勢を奪われ、最終的に窒息するように立ち枯れてしまうケースすら珍しくありません。「相手を愛するあまり、結果として命を奪うまで締め上げ続ける」という冷酷な生態そのものが、執着と束縛の象徴として読み替えられた決定的な理由です。
また、猛毒植物として知られるトリカブトの「復讐」「敵意」「美徳」という二面性や、雪を割って咲くスノードロップの「あなたの死を望みます」という戦慄の伝承も、純粋な美と破滅が隣り合わせであることを示しています。スノードロップの不穏な意味は、イギリスの一部の地方において「亡くなった恋人の遺体の上に置かれた花」という葬送の伝承に根ざしており、深い哀悼が転じて相手を冥界へ引きずり込むようなヤンデレ的ニュアンスを帯びるに至りました。