検索エンジンやSNS上で「MBAホルダー 意味ない」というキーワードが頻出するのはなぜでしょうか。人事担当者へのヒアリングや現場の証言を分析すると、理論と実務の乖離に起因するいくつかの構造的な要因が浮かび上がってきます。
批判の筆頭に挙げられるのが、「フレームワークの知識はあるが現場を動かせない」という実務遂行能力とのギャップです。どれほど精緻な戦略を立案しても、泥臭いオペレーションや部下のモチベーション管理、現場のステークホルダーとの利害調整ができなければ、事業成果は出せません。机上の空論を振りかざすホルダーが現場の反発を招き、「頭でっかちで使えない」というレッテルを貼られるケースが後を絶ちません。
また、日本企業の雇用慣行とのミスマッチも無視できません。年功序列や新卒一括採用をベースとした旧来型のメンバーシップ型組織では、MBA取得者が持つ経営知を活かすポストが用意されておらず、単なる「一担当者」として配置されてしまう事例が見られます。結果として本人の期待値と組織の評価が噛み合わず、「取得しても意味がなかった」という当事者の失望につながっています。
しかし、転職市場全体を俯瞰すれば、戦略コンサルティングファームや投資銀行、急成長メガベンチャーの経営企画室、外資系企業などでは、共通言語として経営理論を扱える人材への評価は依然として極めて強固です。すなわち、「MBAそのものが無意味」なのではなく、「取得後の実務適用力と、それを評価・活用できる環境選びの失敗」こそが批判の本質と言えます。