ひろしのキャリア形成において見逃せないのが、勤務先である双葉商事での立ち位置です。劇中では東京・霞が関や日本橋界隈を思わせるビジネス街にオフィスビルを構える総合商社として描写されています。熾烈な企業間競争の中で、35歳の若さで「営業第2課係長」のポストに就いている事実は、社内で極めて高い営業力と実務遂行能力を評価されている動かぬ証拠です。
部下の川口からは公私にわたって兄貴分として心底慕われ、直属の上司である部長や課長からも、厄介な取引先との交渉や海外出張の打診を受けるなど、組織の要として機能しています。接待ゴルフや深夜に及ぶ飲み会に付き合いながらも、翌朝には家族のために満員電車に揺られて出社するタフネスは並大抵ではありません。
そして、作中で頻繁にギャグとして扱われる「春日部 持ち家 ローン32年」(初期設定では残り35年)。当時の金利水準を考慮すると、数千万円規模の住宅ローン審査を30代前半で通過できたこと自体が、双葉商事の企業信用力とひろし本人の返済能力の高さを裏付けています。一度はガス爆発によって自宅が全壊するという未曾有の災難に見舞われながらも、火災保険の適切な適用と仮住まい(またつれ荘)生活を経て見事にマイホームを再建させた危機管理能力とレジリエンスは、ビジネスエリートの風格すら漂わせています。