インターネット上の掲示板やSNSで「黒門市場はぼったくり」と書き込まれる背景には、長年大阪の下町文化に親しんできた国内層の「市場=安くて旨い大衆的な場所」という固定観念と、現在の市場が提供する「体験型高級フードコート」としての実態との間に生じた激しいギャップがあります。
実際に市場を歩くと、タラバガニの焼き足1本が3,000円〜5,000円、A5ランク黒毛和牛の串焼きが1本3,000円〜6,000円、特上生ウニが1舟5,000円超で販売されている光景が目に入ります。日常の買い物感覚からすれば極めて高額に見えますが、流通関係者の証言によると「扱っている原材料そのものが豊洲や中央卸売市場でもトップクラスの特級品であり、その場で下処理・炭火焼きして提供する人件費とイートイン設備維持費が上乗せされている」という実情があります。
つまり、粗悪品を高値で売りつける悪質な詐欺行為ではなく、「訪日外国人向けの超高級食材のその場消費」に特化したビジネスモデルへと市場の一部が最適化された結果、一般的な日本人消費者の金銭感覚と乖離してしまったというのが真相です。