現代のボカロ失恋ソングを語る上で欠かせないのが、シーンを牽引し続けるDECO27とカンザキイオリという二大クリエイターの存在です。両者が描く「失恋」の世界観は対照的でありながら、どちらもリスナーの心根を深く抉り取ります。
DECO27の作品群(『ヴァンパイア』『愛言葉IV』『ヒバナ』など)は、リズミカルで中毒性の高いビートに乗せて、恋愛関係における「エゴ」「欺瞞」「嫉妬」をポップかつグロテスクに描き出します。ポップなサウンドでコーティングされた毒のある言葉は、相手を嫌いになりきれない泥沼の失恋において、強がりながら聴くのに最適な処方箋となります。
対するカンザキイオリの楽曲(『あの夏が飽和する。』『爆弾』など)は、言葉の重みそのものを叩きつけるような文学的アプローチが特徴です。失恋を単なる男女の別れとしてではなく、自らのアイデンティティの崩壊や実存的危機として描き、痛みを極限まで煮詰めた末に「それでも生きる」という圧倒的な祈りへと昇華させます。胸を掻き毟るような慟哭を必要とする夜には、彼の紡ぐ旋律が唯一無二の伴走者となります。