ウォレットチェーンの歴史を語るうえで、1960年代後半のアメリカで巻き起こったバイカームーブメントを外すことはできない。広大な大陸をハーレーダビッドソンで駆け抜けるライダーたちが、走行中の財布の落下を防ぐために考案した実用具。それが始まりだった。
この実用アイテムをファッションのアイコンへと押し上げた立役者こそ、カルチャー史に燦然と輝く名作映画『イージー・ライダー』だ。スクリーンのなかでアウトローたちが魅せた危険で自由な匂いは、世界中の若者たちの心を揺さぶった。アメリカンカルチャーの専門誌『Lightning』でも長年にわたり特集が組まれ続けている通り、アメカジ・バイカーファッションの文脈において、腰元のチェーンは男の自由と反逆のシグネチャーであり続けている。