沖縄やんばるの大自然に佇む「東村立山と水の生活博物館」の魅力とは何でしょうか。一体なぜ多くの旅行者がこの地を訪れるのか、その答えは福地川の清流沿いに広がる独自の展示構成にあります。2004年2月に開館した本館は、単に生物標本を並べただけの無機質なハコモノではありません。山から湧き出た水が川を下り、海へと注ぐ過程で育まれる生態系と、その恵みを受けて紡がれてきた人々の暮らしを一つの連続したストーリーとして提示しています。
館内に足を踏み入れた来訪者を圧倒するのが、館内中央に鎮座する巨大なジオラマ展示です。やんばる特有の鬱蒼とした照葉樹林が精緻に再現され、ノグチゲラやヤンバルクイナをはじめとする希少鳥類のリアルな剥製が森の各所に配されています。さらに、沖縄県博物館協会の記録にも残る通り、約60点に及ぶリュウキュウイノシシの生態写真展示では、厳しい自然界で生きる親子の情愛や過酷な生存競争が生々しく切り取られており、観覧者の足を止めさせます。
一般的なリゾート観光では決して見ることのできない「山原(やんばる)の日常と生命の息吹」が凝縮されている点こそ、遠方からわざわざ足を運ぶ旅行者が後を絶たない最大の理由と言えます。