酒粕料理を口にするにあたって、最も慎重な配慮が求められるのが法律上の規制と生体への安全性です。「加熱調理した料理だから大丈夫だろう」という自己判断は、時に取り返しのつかない事態を引き起こします。
道路交通法における「酒気帯び運転」の基準値は、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上と厳格に定められています。加熱時間が不十分な濃い粕汁を2杯摂取したり、酒粕甘酒を飲んだ直後に運転した場合、呼気検査で基準値以上のアルコールが検知される可能性は十分にあります。警察庁および各都道府県交通安全協会の広報資料でも、酒粕を使用した料理や洋菓子(サバランやウイスキーボンボンなど)による「意図せぬ酒気帯び」に対する警告が定期的に発信されています。たとえドライバー本人が酔いを自覚していなくても、検知器が規定値を測定すれば刑事罰および行政処分の対象となります。運転前の3〜4時間は酒粕料理の摂取を完全に控えるのが鉄則です。
また、妊娠中や授乳中の女性、乳幼児の摂取に関してはさらに厳重な注意が必要です。医学的に「これ以下の量なら胎児に絶対に影響がない」と言い切れるアルコールの安全閾値は確立されていません。妊娠中のアルコール摂取は胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)のリスク要因となるため、産婦人科のガイドラインでも「微量であってもアルコールは避けるべき」と指導されています。乳幼児に関しても肝臓のアルコール分解酵素が未発達であるため、大人にとっては気にならない微量の残存アルコールでも急性アルコール中毒に似た症状や体調不良を招く危険性があります。