科学者たちを惹きつけてやまないのが、この地がたどった地質学的なプロセスだ。富沢遺跡周辺は、名取川の支流がもたらす豊かな水源と、蔵王連峰からの火山灰が堆積しやすい地形だった。火山灰が素早く堆積して地表を覆い、その後の地下水上昇がパック保存の役割を果たしたと考えられている。
この絶妙な自然のイタズラがなければ、私たちは氷河期の森林をこれほど鮮明に見ることはできなかっただろう。現在、世界各地の考古学者や地質学者が、この保存メカニズムを応用した文化財の長期保存技術の研究を進めており、富沢遺跡は科学の未来をも支える存在となっている。