「利用者さんの顔を見ている時間よりも、事務所で計画書の空欄を埋めている時間のほうが精神的に削られる」――都内の訪問看護ステーションに勤務する看護師(30代・実務経験6年)は、取材に対してそう重い口を開きました。厚生労働省の各種業務実態調査や関連団体のアンケートでも、訪問看護師の離職理由の上位には常に「記録・書類業務の多重負担」が挙げられています。
ネット上の掲示板やSNS、知恵袋などでも「毎月月末になると計画書が終わらず持ち帰り残業をしている」「前任者の記録をコピー&ペーストしているが、これで実地指導をクリアできるのか不安で夜も眠れない」という現場の切実な吐露が溢れています。本来、利用者の在宅療養を支えるための羅針盤であるはずの計画書が、皮肉にも現場の看護師を疲弊させ、ケアの質を圧迫する元凶と化している構造が見て取れます。
この負担の根本にあるのは、個々の利用者の病態や生活環境に合わせた看護計画を言語化するノウハウが体系化されておらず、個人の裁量や「熱意」に丸投げされている現実です。精神論で書類を片付ける時代は終わりを告げました。まずは計画書の基本構造と、隣り合わせにある制度的リスクの正体を冷静に整理する必要があります。