日本社会に決定的な衝撃を与えたのが、2023年初頭に全容が暴かれた連続強盗グループによる「ルフィ事件」でした。この事件を契機に、犯罪組織がいかにしてフィリピンを安全地帯として悪用してきたかというルフィ事件のフィリピンにおける経緯が白日の下に晒されました。
事件の中枢となったのが、マニラ首都圏タギッグ市に位置する入国管理局の収容施設「ビクタン収容所」です。本来であれば不法滞在者や退去強制対象者を収容・監視する場所であるはずが、その実態は「金さえ払えば何でも手に入る無法地帯」でした。当時の特番インタビューや強制送還された関係者の証言によると、所内では看守に対する賄賂(VIPフィー)が日常化し、幹部らは専用のエアコン付き個室を確保。スマートフォンやWi-Fiルーターを公然と使用し、日本国内の実行犯へ「闇バイト」を通じて強盗指示を出し続けていました。
フィリピンの特殊詐欺拠点として同国が選ばれた背景には、日本との時差がわずか1時間であること、英語を話す現地スタッフを安価に雇えること、そして現地当局への贈収賄が通用しやすい土壌がありました。2024年以降、フィリピン政府による大掛かりな摘発と幹部の日本送還によってビクタン収容所の綱紀粛正が進められたものの、2026年現在もフィリピンへ逃亡した日本人容疑者が完全に根絶されたわけではありません。拠点は都市部のホテルやコンドミニアムから、監視の目が届きにくい地方のリゾート地や私有地へと分散・地下潜行化しており、現地治安当局と日本の警察庁による追跡捜査が水面下で続けられています。