2007年12月、世間に走った激震は今も多くのファンの記憶に焼き付いています。日本ハムを44年ぶりの日本一へと導き、惜しまれつつ現役を引退した新庄剛志氏が、タレントとして活躍していた大河内志保さんとの離婚を突如発表したためです。泥沼の裁判劇ではなく協議離婚という形をとったものの、その引き金となったエピソードは常人の理解をはるかに超えるものでした。
発端は、新庄氏が仕事で訪れたインドネシア・バリ島での直感でした。現地の澄み切った空と自由な空気感に心を奪われた新庄氏は、日本にいる大河内さんへ向けて一本のメールを送信します。そこに綴られていたのは、「今日から僕、バリ島に住むから離婚しよう」という、あまりにも一方的かつシンプルな通告でした。
報道関係者や当時の特番インタビュー、大河内さん自身の手記によると、最初は大河内さんも「何を冗談を言っているのか」と耳を疑ったといいます。しかし、新庄氏の決意は本物でした。「自分の人生の第2章は、誰の責任も背負わず、何にも縛られずに生きたい」という衝動は、誰にも止められない領域に達していました。
大河内さんは数日間にわたる熟考の末、夫を引き留めるのではなく、彼の背中を押す決断を下します。のちのメディア出演で彼女は、「この人は自由な世界に解き放ってあげてこそ輝く人。私の存在が彼の足を引っ張る枷(かせ)になるなら、手放してあげることが私の最後の愛情だと思った」と述懐しています。愛が冷めたから別れるのではなく、「相手の天衣無縫な本質を生かすための解放」という、極めて異例の離婚理由がここに成立したのです。